鋼構造ジャーナル2003年10月20日号掲載「暖流」より

 2003年(平成15年)10月1日より首都圏ではディーゼル車乗り入れ規制が施行された。これに伴う輸送コストの上昇は流通業界においてマイナス要因といわれている。しかし,その一方でトラックの買い換え需要は活発となり,自動車メーカーは活況を呈しているようである。
 21世紀は地球規模での環境対策が必要で,クリーンエネルギー開発技術は更に発展するであろう。統計によると,我が国の発電は火力60%,原子力30%,水力10%,風力,太陽光等が0.1%であるという。
 私は,父の発電所関係の仕事で小学2年生より高等学校卒業まで,本州最南端の和歌山県串本町の北に位置する清流の古座川上流でダムと発電所建設工事を身近にして育った。当時の建設作業は人力中心で,6年近い歳月をかけて昭和31年に竣工したものの,その発電能力は僅か3,800kw2基にすぎない。
 最近の統計では風力発電が全国各地で500基以上建設されており,総発電量は40万kwを超える。国内最大のものは静岡県竜王町に設置されている1,900kwで羽の直径は80mにもなる。1基の発電能力が500kwを超えるものは国内に沢山あるようで,支柱高さも50mを超えると鋼構造物としてはかなりの規模になる。風力発電は年間平均風速が得られる立地条件,発電コスト,周波数の問題もある。しかし,工事期間が短く水力や原子力のような地元補償を必要としない利点がある。
 水力や風力発電はクリーンエネルギーと言われる。水力発電が環境にやさしいクリーンエネルギーなのかについては,古座川の想い出と共に次回としたい。

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(本文は鋼構造ジャーナルさんの転載許可を得て掲載しています。)